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南房総・体験レポート

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和風旅館で、心の旅を。

 日本人にとって和風旅館は、心の故郷のような存在である。しかしながら時代の変化とともに減少し、希少価値が高まっている。国登録有形文化財の認定を受ける旅館『松の家』に泊まり、 昭和ノスタルジーに浸ってみた。

 古き良き時代に思いを馳せる「昭和レトロ」は、根強い人気がある。昭和時代の商店街を再現したテーマパークも誕生している。だが、それらの多くは昭和を演出した作り物。本物を知っている者にとっては一抹の虚しさを覚える。
 旅館『松の家』は、築百年に迫る建物を今も現役で使用する、いわば生きた昭和=Bただ見学するのではなく、宿泊しゆったりと本物のノスタルジーに浸れるのだ。

 重いガラスの引き戸を開けると、黒電話、振り子時計、公衆電話室…。記憶の中の昭和が現実として目の前に広がる。これらは思い出の品として展示されているのではない。普段の生活の中で当たり前に使われている。
 『松の家』の開業は江戸時代末期と伝わり、商店街に面した本館は昭和初期に建築されたもの。桁行八間の入母屋造、桟瓦葺きの屋根、正面玄関部分の唐破風が、当時の旅館建築の特徴を表していることから、2003年7月に国の登録有形文化財に指定された。

 江戸時代末期の勝浦は、朝市が開かれる商人町として栄え「勝浦三町江戸勝(まさ)り」と呼ばれるほど賑わいをみせた。『松の家』は朝市発祥の地とされる場所で開業し商人や旅人たちに利用され、戦後になると臨海学校の生徒や海水浴客がどっと押し寄せたという。
 平成に入り海水浴ブームは落ち着いたが、ビジネスユースや釣り客、七五三、結納、法事など地元の宴会で長年にわたり愛用され、和風旅館の佇まいを保ち続けてきた。
 今や玄関口で灯る提灯のあかりは、勝浦商店街のランドマーク的な存在だ。

昭和の温もり、佇まい

 玄関のタタキ、沓脱石、上がり框、床は昭和初期からずっと変わらず、幾千、幾万という足跡に磨かれつやつやだ。
 当時のままだという階段をギシッギシッと上り2階の部屋へ。襖を開けると、鴨居、繊維壁、床の間、なんだか自分が生まれ育った昔の家へ帰ってきたような気分。窓は木製建具で、鍵はクルクル回してねじ込む真鍮の金具だ。アルミサッシではない窓を開けるのは何十年ぶりだろう。
 窓際の椅子に腰掛け外の通りを眺めていると、今にも商店街のスピーカーから歌謡曲が流れてきそうだ。

 一風呂浴びて部屋に戻ると夕食が用意され、なんと机を埋め尽くさんばかりの大歓待。煮物、焼き物、揚げ物、汁物、刺身…。朝市の農家さんが持ってくる里の幸、親族の漁師さんが獲ってくる海の幸、新鮮な旬の食材をふんだんに使った料理が盛りだくさんだ。勝浦を訪れたお客様を地元自慢の食材でもてなす、真心のこもった夕食である。

等身大の時間旅行

 勝浦はあまりに身近な場所であり、今まで観光客目線で料理を味わう機会がなかった。地元食材の品々が膳を彩る旅館の料理は目にも新鮮だ。美味しさはもちろん、国内観光が華やかであった時代の空気感まで味わえた。
 瓶ビールと地酒でほろ酔いになり、和室に敷かれた布団に転がり込んでほどなく就眠。翌朝、障子越しのうっすらとした光で目覚める。枕の上で最初に目に映ったのは、表情豊かな木目天井。小さな子供の頃、波打つ木目が顔のように見えて怖かったことをふと思いだし、ほっこりとした気分になった。

 『ミレーニア勝浦』に滞在していて、同じ市内の旅館に泊まることはまずないだろう。だが、『松の家』には、敢えて泊まりたくなる風情がある。年を重ねるごとに儚く淡くなっていた記憶を呼び覚ます「時間旅行」ができるのだ。
 あの頃の自分に還る心の旅≠ノ出掛けよう。

取材協力

旅館 松の家 .0470-73-0047 勝浦市勝浦30

宿泊プランの詳細、お料理の内容については、お電話またはホームページでご確認ください。

http://katsuura-matsunoya.com/

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