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南房総・体験レポート

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生きた水、久留里

 名水といえば山の湧き水というイメージがあるが、町の中でこんこんと湧き出る名水もある。千葉県内で唯一『平成の名水百選』に選ばれている久留里の水を汲みに行った。

 歩いていて、これほど井戸を見かける町は少ないのではないだろうか。久留里(くるり)には、駅前、国道沿い、横丁、住宅地など至る所に自噴井戸があり、その数およそ200本。なかには自由に水を汲める掛け流しの井戸もある。
 これらの井戸の多くは、明治時代中期、君津発祥の工法『上総掘り』によって掘られたもので、現在に至るまで、春夏秋冬、24時間、絶え間なく湧き出ている。

 その水は抜群の透明度を誇り、炭酸やミネラル、乳酸菌といった天然の有用な成分を含んでいることから生きた水≠ニ名けられている。
 飲んでみると、まろやかで文句なしの美味しさ。冷蔵庫から取り出したばかりのように冷たく、真夏の炎天下を歩いていて火照った身体を一気に冷やしてくれる。
 また地元の観光協会が中心となって厳密な水質調査を随時行っており、衛生面でも安心だ。
 久留里が位置する南房総山間部は、年間の降水量2000mmを超える多雨地域で、降り注いだ雨は久留里の硬い岩盤の地下深くまで何百年もかけて浸透し、地下水脈を経て久留里に湧き出しているのだ。

創業八十年は “ひよっこ”

 そして久留里商店街には、恵まれた水を活かした酒蔵やそば処、ベーカリーなどが点在しており、店先を覗きながらの町歩きも楽しい。レトロな店構えが多く、中でもひと際目を惹かれたのが昭和時代のかき氷機。店主が古いかき氷機を再生するのが趣味とのことで、レストアされたかき氷機が幾つも並んでいる。やはり、古い町並には、昔ながらのかき氷機がよく似合う。丁寧に削られた、ふわふわでキメの細かい雪のような氷は、普通のイチゴシロップをかけただけで極上の涼感スイーツになる。

 元祖、かき氷を味わい、その先へ歩いていくと、芳ばしい焼き鳥の香りが漂ってきた。
 [鳥健]と大きく書かれた食肉・食料品店の店先で、店主の田中さんが炭火で鳥串を焼いていた。国産肉のみを使用し、店内で一本一本丹精込めて串に刺し、君津産の炭で焼く、地元では広く知られたお店。創業昭和元年と歴史もある。
 田中さんは熟練した手つきで肉を返し、時折、スプレーで何やら吹きかけながら焼いている。中身は地元久留里の日本酒だとのこと。日本酒を吹きかけることで、柔らかくかつ弾力があり、しかもジューシーな焼き鳥に仕上がるという。そして[鳥健]オリジナルの人気商品だと出してくれたのが、豚ロースに大葉をはさんで巻いた、その名も久留里くるくる=Bこれが実に美味しい。外はカラッと焼き上がっているのに中は肉汁ジュワジュワ。豚ロースの旨みを大葉の香りが引き立てている。

 雛串、手羽先、レバー、どれもしっかり焼いてあるのにフワフワと柔らかくジューシーで、しかも後味はさっぱりしている。この味を求め、常連客がひっきりなしにやってくるので、午後5時から焼き始めると、2時間ほどで売れ切れてしまうという。「さすが老舗の味」と言うと、
 「この店が出来てから八十年。でも八十年なんて老舗のうちに入らないよ。ここ久留里じゃあ鼻タレだ」と笑う田中さん。久留里には、百年、二百年と続く老舗が多く、[鳥健]の向かい側には、寛永元年創業(1624年)という千葉県最古の酒蔵[吉崎酒造]の看板が立っていた。
 なるほど、久留里の魅力は、名水だけに留まらないようだ。もっとじっくり掘り下げてみたくなった。

取材協力

鳥健  問い合せ先/℡.0439-27-3125 千葉県君津市久留里市場110
営業時間/8時〜19時(焼き鳥販売は17時〜) 定休日/日曜日

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